一本の線
手を繋げた。やっとだ。それはすべての物事を完成させる最後のピースで、すべてを0にして、すべてを救済する。
あるべきものをあるべきところに収束させて、物語はハッピーエンドを迎える。ハッピーエンドの良いところは最高の瞬間の続きを考えずに済むところ。現実は続いていくのが前提だ。
お別れを言わないと。嘆くのも喜ぶのも正しくない。限りなく心を透明にして、本当の姿を映していなければならない。
救いなどというのはハッピーエンドと同様、現実では叶わない形でしか成り立たない概念なのだ。これさえあればが叶うとき、現実の姿が見えてくるだけで、良くも悪くもなりはしない。
毒を食らわば皿までの精神でいるべきだ。それでいて矛盾から逃げてはいけない。正しくあろうと思わなければいけないが、正しくあれると思ってはいけない。
本当でなければいけない。何も許してはいけない。ここまで来たなら仕方がない。か細い道しるべがあるだけだ。